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BCPはひな形に沿って埋めることも可能ですが、効果的でない場合もありますので、ガイドラインを活用して策定を進めていきましょう。BCPのガイドラインとひな形については厚生労働省のサイトで確認してください。
ガイドラインに沿って埋めていくとBCPを一通り完成させることができますが、ひな形に記入しただけでは効果はありません。BCP策定の真の目的は緊急時に行動できるようにすることであって文書を作成することではないからです。ひな形を埋めるだけだと作成した本人しか覚えていない場合が多く、周囲の人は認知していない可能性があります。特に自然災害は突発的に起こるため文書を読んで考えている暇はありません。大地震や台風によって河川が氾濫した時、施設内で感染者が発生した時など想定外の事態が発生した場合、関係者が即座に判断して動けること、そして、対応できることが重要なのです。
では、BCP策定を単なる事務処理に終わらせず、過度な労力をかけずに実効性を持たせるためにはどうすればいいのでしょうか。
まずは「何ができていないのか」「何が決まっていないのか」をひな形に照らし合わせながら確認しましょう。できていない、決まっていないことは何を書けばいいのかわからない部分です。これらは今すぐに対応できることではないため、当面の課題として切り出し、まずは現状の確認を進めていきましょう。
ひな形に照らし合わせながら現状を確認できたら、簡単な演習をしてみましょう。施設長や各業務責任者など関係者全員が集まり、実際に災害が発生したと想定して、具体的にどのように行動するかを時系列で確認します。この際、時間を区切って行うのがポイントです。たとえば、「発災直後は全員が自分の身の安全を確保する」「1時間後にAさんは利用者の、Bさんは職員の安否確認をする」「3時間後にCさんとDさんが被害状況を確認する」などです。ガイドラインを見ながらすでに対応できていることはひな形に書きこみ、対応に迷う部分は課題として切り出しておくといいでしょう。
簡易的な演習を行うメリットは、参加者が同じ状況を疑似体験して当事者意識と危機感を高め、問題意識を共有できることです。後日、対策を検討する際にも現実的な議論が可能となります。
現状を確認し、対応できない部分は課題として挙げることになりますが、期限を決めないままだといつまでも未解決のままです。ひとまず2024年3月末を目標として、どこまで対策を導入すべきかを決めます。ガイドラインには具体的な実施項目が記載されているのでそれをベースにして、おおよその難易度を把握し、いつまでにできるかを判断しましょう。新たなルール作りが必要な場合は「誰と誰が集まり、どれくらいの時間をかけて検討するのか」を整理します。