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2021年4月に施行された「2021年度介護報酬改定」では、2024年の3月末までに介護施設や事業所ではBCPを策定することが義務づけられました。日本は災害大国です。危機的状況に陥った時に利用者や職員を守るために計画策定や訓練の実施が義務づけられたのでしょう。
しかし、2024年の3月末までにBCPを策定しなかった場合の罰則は発表されていません。なぜなら、改正された省例は法律で委任されない限り、罰則を設けたり、国民の権利を制限したり、義務を課したりするルールを設定できないからです。そのため、今後も罰則を設ける可能性は低いと思われます。
BCPを策定することで危機的状況に陥った時に優先的に行うべき行動が明確になります。介護施設や事業所では職員の行動が利用者の命に関わる可能性が高いため、日頃から緊急時の対応を想定し、訓練しておくことが大切です。
さらに、緊急時の対応は信用問題につながるため、取引先にも大きく影響します。利用者や職員の命を守り、かつ経営へのダメージも最小限に抑えることができるのです。
介護施設や事業所では職員が常に安全で働きやすい環境で仕事できるよう配慮しなくてはならない、という安全配慮義務を負っています。安全配慮義務を尽くしているのに事故が発生した場合、損害賠償責任はありませんが、安全配慮義務に違反したことが判明した場合は、民事上の賠償義務が発生します。法的責任だけでなく、道義的・社会的責任も追及されるリスクもあるため、万が一の事態に備えた対策が必要です。
多くの自治体では策定したBCPを実行するために必要な物品・設備の導入費用の一部を補助金や助成金で賄っています。たとえば、非常用自家発電設備や蓄電池、職員の安否確認システムの導入、データバックアップ専用サーバー(NAS)またはクラウドサービスによるデータバックアップ、耐震・免震ラックへの交換、飛散防止フィルム、転倒防止装置といった地震対策、非常食(水や食料)、簡易トイレ、毛布、小型簡易浄水器など非常時の備蓄などです。
新型インフルエンザ等対策特別措置法により、新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合、医療サービスを提供する事業所や国民経済・国民生活の安定に寄与する事業所の職員、新型インフルエンザ対策の実施に携わる公務員に対して、臨時接種を行うことを定めています。
介護施設や事業所も接種対象ですが、登録事業者となるためにはBCPを作成しなければなりません。